事業を進めていくにあたって、また新しい事業を始めるにあたっては、ニーズを把握することは重要になります。
ニーズ(needs)とは、「欲求」「需要」「必要」という意味を持つ言葉で、ビジネスにおいては顧客が求める理想的な姿などの欲求を表します。ニーズをわかりやすく言うと「人が必要としていること」になります。
そして、ニーズ調査で便利に活用できるのが検索エンジンが持つデータです。

人は問題に直面した時に情報を必要とします。今はインターネットを使って、手軽に検索して情報を得ることができる時代です。ユーザーが様々なツールで検索する内容は、リアルな思いや考えであり、検索エンジンで収集されている膨大なデータは人の行動を物語っています。
多くの方が調べたり行動しているということは、多くの方がそれを求めているということです。

今進めている事業やこれから進めていこうと考えている新規事業が、ターゲット顧客が抱えている問題を解決ができるものでなければ、必要性を感じることもなくサービスを提供していくことも難しいでしょう。

マーケティングリサーチの1つの手法としてアンケートでの市場調査がありますが、アンケート調査では、設問がしっかりデザインされていないと様々なバイアスがかかり、情報の信頼性・妥当性が低くなってしまうこともあります。
こうした調査では適切な質問を立てることが重要になりますが、実施する側の思考が強くなりやすいので、アンケート調査を行う前にはまず「ターゲット顧客を知ること」が必要です。

ニーズを一言で「人が必要としていること」と言いましたが、なぜ必要としているのか?という求めている理由が本当のニーズであります。そこまで把握するには現在持っているデータの分析やアンケート調査など、多くの費用と時間をかけていかないといけません。

しかし、いきなり費用と時間をかけるのは大変という事業者もあるでしょう。
そこで今回は、無料で手軽にできるニーズ調査として、検索エンジンが持つデータを活用した方法をいくつかご紹介します。

検索エンジンのサジェストキーワード

サジェストキーワードとは、検索窓に調べたいキーワードを入力した際に、検索ボリュームの多さによって自動的に検索候補を表示する仕組みです。
ターゲット顧客がどんなことを知りたいのか、何に問題を抱えているのかなどが見えてきます。

例として、「ホームページ制作」というキーワードで見ていきますと、検索窓にキーワードを入力して半角スペースを入れると、検索候補として第2キーワードが表示されます。

検索エンジンのサジェストキーワード

これまでユーザーが検索してきたキーワードや複数の単語をもとにサジェストキーワードが表示されます。
半角スペース(または全角スペース)を入れながら複数のキーワードを入力することで、ユーザー行動をより絞り込むことができ、第3キーワード、検索エンジンによっては第4キーワードまで表示されることもあります。

また利用するユーザー層の違いもあり、YahooやBingでは検索ボリュームに少し違いがでます。

Yahoo!とBingのサジェストキーワード

Googleの検索エンジンを利用するユーザーが大半を占めていますが、利用者の属性(とくに職業や環境)によって利用する検索エンジンに偏りがでることもありますので、世界でも日本でも高いシェア率を誇るGoogle、Yahoo、Bingの3つの検索エンジンは必ず確認しておくといいでしょう。

またWebブラウザの検索窓にキーワードを入力すると、自分が過去に検索したキーワードが表示され、十分にサジェストが取得できない場合があります。
なるべく検索履歴を削除してから行うか、Webブラウザをシークレットモード(プライベートブラウジング)にしてお試しください。

YouTubeのリサーチ機能は2024年9月現在、生成AIを搭載してブラッシュアップされ「インスピレーション」という名前に変わりました。
下記のメディア記事にて、インスピレーション機能をご紹介しています。

YouTubeのリサーチ機能

YouTubeのリサーチ機能はYouTube利用者の視聴調査ができる機能で、ユーザーの興味や関心を知ることができます。
テキストや画像よりも映像の方が情報量が多く、動画時代の現代はWebページだけでなく、動画を活用して情報を収集する方が増えています。
数ある動画プラットフォームの中でも利用者が多いYouTubeでありますから、より多くの情報からユーザー行動を把握することができます。

YouTubeチャンネルを持っていない方は、Googleアカウントがあれば無料で作成できますので、チャンネルを作っておきましょう。動画はあげなくてもリサーチ機能は使えます。

YouTubeにアクセスしまして、アカウントのオプションから「YouTube Studio」を選択します。

YouTubeのリサーチ機能

YouTubeチャンネルの動画を管理するYouTube Studioページにて、左メニューの「アナリティクス」の項目を選択して、「リサーチ」のタブの「YouTube全体での検索」のタブから、調べたいキーワードで視聴調査を行います。
検索窓にキーワードを入力し、Enterキーを押して検索を実行します。

YouTubeのリサーチ機能による検索ボリュームの調査

YouTubeでの検索ボリュームとして「高」「中」「低」で分類されており、検索ボリュームの高い検索キーワードが順に表示されます。多くのユーザーが何に興味があるのか、どこに問題を抱えているのかが把握できます。

YouTubeチャンネルも運用していて、Webサイトと連携して活用されている場合は、YouTube動画のリサーチ結果を参考に、ユーザーの求めている情報を発信していくことができるでしょう。

Bing Webマスターツール

Bing Webマスターツールは、MicrosoftアカウントやGoogleアカウントを持っていれば誰でも利用することができます。主に運用しているWebサイトを管理するために使いますが、キーワード検索について調査ができる機能があるので、Webサイトの分析だけでなく市場調査としても活用できます。

キーワードの調査と聞くと、有名どころのGoogleのキーワードプランナーなどもありますが、無料で利用できる範囲が限られていますので、ここではBing Webマスターツールをご紹介します。
Bingの検索エンジンは、OpenAIの導入によって利用者が増加傾向にあり、今後いろんな企業がBingの検索エンジンを採用するという話もありますので、情報量としては十分でしょう。

Bing Webマスターツールにログインして、左メニューから「キーワード調査」を選択します。
キーワード調査の画面では、はじめは登録しているWebサイトに関連した調査情報が表示されていますが、画面上部の検索窓に調べたいキーワードを入力して検索することで、全体の検索ボリュームを表示することができます。

Bing Webマスターツールを使ったニーズ調査

次による一覧表示の項目の関連するキーワードのタブからは、0〜100の数値で表されるトレンドの指標と検索表示回数を示すインプレッションの数値が確認できます。

Bing Webマスターツールを使った検索ボリュームの調査

「すべてダウンロード」のボタンからは、関連するキーワード一覧の情報をCSVファイルでダウンロードできますので、Excelなどのアプリケーションで開いてインプレッションの昇順・降順の並びで確認して分析していくのもいいでしょう。

さいごに

今回ご紹介している内容は無料でできる範囲でありますが、それでもユーザーの行動の把握と自分たちの強みから、新たに顧客の問題解決のために提供できる何かが見つかるかもしれません。

まずは無料でできることを始めて、それから少しずつ費用と時間をかけて、事業や企業の認知度を高めていくといいでしょう。

少しお話しに出ましたGoogleのキーワードプランナーは、Google広告の付属ツールとして提供されています。無料で利用できるものの広告費の支払いがない場合は、検索ボリュームもざっくりとした数値しか確認できません。広告掲載を含めて利用するとBing Webマスターツールより細かく分析することができ、さらに広告を活用して認知度を高めることもできて、顧客の獲得に繋げることができるでしょう。

私たちCRIARでは、広告運用のお手伝いもさせていただいております。
広告掲載をお考えの際は是非ご相談ください。