私はつい最近、いわゆる “就活(学生時の就職活動)” を終えました。その就活をとおし、コーポレートサイトのビジュアル面のアプローチが企業によって多様であることに気づき、いつしか就活そっちのけでさまざまなコーポレートサイトにアクセスしてはデザインコンセプトを探るということを楽しんでいました。ある意味本末転倒な行動ではあったのですが、就活の時期にそのような経験ができたのは、デザイナーとして活動する今の私にとって、大きな糧になったと実感しています。

そこで、就活生が応募したくなるコーポレートサイトではどんな表現・工夫がなされているのか、私自身が心が動かされるサイトを考察・紹介していきます。

ビジュアルとアニメーションで企業の想いが表現されたコーポレートサイト

寺田ニットのwebサイト

株式会社寺田ニット/制作:SHIFTBRAIN Inc.

※敬称略

※2023年7月現在、求人募集情報はありません。

寺田ニットさんは、ニット製品の製造をメインに扱っている会社です。

”着心地がよく、つい毎日袖を通したくなるようなニットをつくること” を目指しているそうです。

学生の立場であった私の心が動き、応募したいと感じた点は、3つあります。

寺田ニットのwebサイト_1

1.サイトを開くと、紡績で使われるコーンが画面中央に登場し、その周りで糸が円を描くようにゆったりと動いています。画面をスクロールさせると、その糸がイラストを描きながら奥へ奥へと延びていきます。イラストは、画面に添えられた物語に関するもの。物語が糸とともに紡がれていくビジュアルから、寺田ニットさんの製品にかける熱意や、ニットを通して環境や社会に貢献するという決意が、流れるように表現されています。

企業と就活生の価値観と熱量がマッチしているかどうかは、応募しようと考えるポイントのひとつになると、私は考えます。

また、イラストに添えられた文章も短編小説のような文体で、すんなりと頭に入ってきました。さらに、糸で表現されたイラストは途切れることがなく、企業のこれまでとこれからが有機的に紡がれていく、自分も一員になったとしたらその糸を紡ぐ人のひとりになるのだというイメージを直感的に受け止めることができました。

寺田ニットのwebサイト_2

2.物語の画面が終わると、次は大きく自然豊かな景色が広がる写真が表示され、「人と環境、未来。すべてをシームレスに。」というメッセージがビジュアル化されている。

寺田ニットさんのコーポレートサイトを拝見して、環境にとても配慮している会社だという印象が残りました。おそらく、物語と糸のアニメーションだけではなく、その先にあった自然豊かな景色が頭の中に強く焼き付いたのだと思います。ただ、その景色の写真自体は決してくどくはなく、表示場所がさりげなく淡く加工もされているので、最初の画面で受けた優しい印象をそのまま引き継いでいます。

そのほかにも環境や人に対する想いがビジュアルでそこここに表現されていて、「誰かを幸せにしたい。」という考えで就活をしている学生に響くのではないかと感じました。

寺田ニットのwebサイト_3

3.糸の動きが大きいことで、ワクワク感と遊び心が感じられました。

応募したくなるコーポレートサイトは、「印象に残る」ことが重要だと考えます。

特に、学生時代の就活は長期に渡るため、複数の会社を対象に、タイミングが重なる形で受ける場合が多いです。また、細かく調べて厳選していくため、事業内容や想いなどに対して良いと思った会社がリストアップされています。

仮に、良い印象の企業が複数あり、どこを第一志望にするか決めかねている場合、コーポレートサイトが印象的な企業を自然と選ぶことがあるのではと個人的には考えます。

寺田ニットさんのコーポレートサイトは、キービジュアルであり製品でもある糸がとても印象的でした。

まとめ

今回は、主にビジュアル面で応募したくなる要素が多いコーポレートサイトを紹介しました。

なぜ印象に残るのか、素敵な会社だと感じたのかを紐解いていくと、就活生にも、ターゲットユーザーにも好印象になるサイトとはなにかということが、ぼんやりながらも見えてくる気がしています。

次回は、今回とは異なる角度から応募したくなるコーポレートサイトとは何かを考察してみたいと思います。

読んでいただき、ありがとうございます!