ブランド戦略を立てることが大切だということは経営者や社長さんでなくとも、各個人が自ら自由にSNSなどで発信することができる今の時代、だれもが認識していることでしょう。

にも関わらず、ブランド戦略をすることが、企業にとって非常に大切なことであり、同時に一番難しいことでもある、ということをしっかりと理解されている企業はまだまだ少ないのが現状ではないでしょうか。

今回は、ブランディングとの違いと、ブランド戦略設計の基本となる事を紹介していきます。

ブランドアイデンティティー

ブランド戦略とは、企業の存在意義(アイデンティティー)を確立させるのに行う戦略のことです。世の中にしっかりと認知してもらうアイデンティティーのことだと理解してください。そして、企業独自の存在意義こそ、ブランドを確立させるのに必須となる【ブランド・アイデンティティー】といえます。

同じようなサービスや商品を展開している他社と、自社に「明確な違いをもたらす要素」がブランドです。

よく間違われやすいことが、ロゴやWebサイト、商品といった形のあるものをブランドだと思われていることです。

全く違う、とは言いませんが、ブランドはそれら形あるもの以上の存在となります。ブランド戦略は、人の感情に響く、心を揺さぶる、そういった作用を生み出すものである必要があります。

実際に企業がブランド戦略を行っていく時、大切にしたい重点をどこに置くのかを、次の3つのポイントに絞ってご紹介します。

  • 存在目的
  • 統一感
  • 感情操作

そしてこれらの3つのポイントは必ずあなたのブランド戦略に取り入れてほしい、重要なポイントでもあります。

存在目的

先ず最初に考えることが、「なぜ自社は存在するのか」「なぜ自社は存在していくのか」という、存在目的を明確にすることです。

存在意義を自問自答し、存在自体を確認することです。

当然、「●●を提供してお金を儲ける」といった利益を得ることも押さえておかないといけません。しかし、存在意義をもっと明確にすることは、その先にある「社会にどういった貢献をしているか」「どういった貢献をするための存在か」といった視点を持ち、存在目的を位置づける必要があります。バーパスデザインを作る、ということです。

この存在目的をちゃんと位置づけて、パーパスデザインを作っておかないと、伝えたい相手がいても伝わりません。伝えると伝わるは違います。

統一感

ブランド戦略には、これでもかというくらいの統一感を持たせることが大事です。企業が発信するブランドメッセージには、各デザインやキャッチコピー、商品、画像など数多くありますが、それら全てに統一性を持たせないと全く効果はなく、意味もありません。

統一感がないと、「●●といえば○○」と想ってもらうことは不可能です。

スタイルガイドブックの作成

ブランド戦略に統一感を持たせるには、戦略を立てる一番最初に「スタイルガイドブック」を作成することが必要です。

このガイドブックは、先に書いた存在目的を軸にして、トンマナ、キャッチコピー、カラー、写真、書体、広告媒体、デザインの雰囲気、などのスタイルを確定し説明しているガイドブックとなります。多くの商品を扱うのであれば、商品毎の販路も決めておくと良いです。違う種類のA商品とB商品を同じ販路で展開していっても売れない可能性が高いです。更に、どのような販路で、どのような広告媒体で、どのように打ち出すかといった販路展開までも細かく設定しておくとよいです。

そしてブランド戦略を成功に導くためには、社員・スタッフ全員が自社が目指すブランドを把握する事も不可欠です。スタイルガイドが出来たら、全員に目を通してもらうようにしましょう。

感情操作

ブランド戦略に、「人の感情に訴え、心を揺さぶる」といった要素も必要です。“人情”を誘導する、とも言えます。

例えば、数万円のバッグや財布よりも、高級店(ブランド店)の何十万や何百万円もするバッグや財布に魅力を感じた経験は誰しもあるかと思います。

なぜでしょうか?

これは論理的、倫理的な思考ではなく、「このブランドを持つと○○○」といった消費者感情が働いているからです。消費者の感情が動かない限り、商品を買ったりサービスを受けるといったことにはなりません。ブランド戦略を考える時に大切にする『ユーザー目線』。これはお客様目線と感情的レベルとの繋がりを考えることです。貴社の商品を買うと「○○が楽になる」、あなたのサービスを受けると「○○になる」、貴社のアイテムを使うのは「環境に優しい」といったことなど、必ずなにかお客様とブランドを繋げるための意義は存在しています。

ブランドブックの作成

ここで作っておきたいのが、ブランドブックになります。スタイルブックとはまた別の作り方になります。ブランドブックは、企業やブランドが持つアイデンティティやブランドイメージ、コンセプトをまとめた資料になります。ブランディングはもちろん、デザイン制作/展開、マーケティング、広報等において、ブランドの統一性を維持するためのガイドラインとして活用します。

ブランドビジョン、ミッション、バリュー、ターゲット層などの基本的な情報の他に、ブランドに関するデザイン、マーケティング、広報活動に関する具体的な指針をほぼ全て掲載します。

ブランドブックは、社外のステークスホルダーに向けて作られるイメージが一般的ですが実は、社内向けとしても作るべき資料です。ブランドブックを作成することによって、社内でもブランドのアイデンティティに対する理解を深めることができるようになり、従業員の仕事や会社に対するモチベーションアップに繋がることが多いに期待できるようになります。

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ここで混同しやすくなる、『ブランド戦略』と『ブランディング』の違いを簡潔にご紹介します。

ブランディングとは別物

ブランド戦略はブランディングとは違います。

ここまで解説した通り、ブランド戦略とは企業の独自の存在意義(ブランド・アイデンティティー)を確立させるのに行う戦略のことです。

そしてブランディングとは、ブランドにプラスαの影響を与える活動のことです。そしてその活動の結果として、顧客に安心感を与え続けることがブランディングの本質となります。

商品や店舗、サービスなどを見栄え良くしたり、デザインしたり、ロゴやキャッチコピーを目立たせたりすることはブランディングのほんの一部であり、これら多くの活動を連携させたり継続し続けることで、より良いイメージをお客様にもってもらいます。

ブランディングを上手くやるコツは、「ブランドっぽい」「オリジナリティがある」ことを念頭におくことではなく、「ブランドぼくない」「オリジナリティがない」ことを先に決めておくことです。

ブランディングは非常に時間をかける必要があります。

その長い時間(期間)の中で、「ひょっとしたらこっちのやり方の方が」とか、「この手法もある」みたいな錯覚に陥ることもあり、そうすると折角決めた軸から外れることになりかねません。

そのためにも「〜〜ぽくない」のような明確な位置づけも必要となります。

まとめ

ブランド戦略に四苦八苦する場合、自分の好きなブランド、自分の好きな商品、などがどのような戦略を施行しているか、リサーチしてみましょう。

そこで感じること(インスピレーション)も多くあると想います。

なぜ自分が好きなのか、ということを考えることはユーザー目線を体験することになります。また、自分を客観視することにもなります。そうなれば、自社のブランド戦略にも大いに役立ちます。是非、今回の記事を貴社のブランド戦略の参考にしてみてください。

今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございます。