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普段、私たちが何気なく耳にする「デザイン」という言葉。
一般的に、文字・写真・イラストなどを組み合わたビジュアルのことを「デザイン」と言うことがほとんどだと思います。他にも日用品や、Webサイト、アプリなどもデザインという言葉で表現されることがあります。そもそも「アートと何が違うの?」「デザインってそんなに大事?」と思われる方も多くいると思います。しかしデザインは、本当は誰にとっても身近で、大切な存在です。
今回はそんな「デザイン」と、「アート(との違い)」を解説していきます。
アートとは
アートは「表現そのもの」のことを言います。目的の有無に関係なく、作者が表現したいと思い形にしたものは全てアートとなります。
デザインとは
デザインは「伝えたいことを伝えるため」のツールとなります。アートと違い、デザインには問題解決などの目的があります。目的達成に向けて物事を組み立て、導いていく考え方や手法のこととなります。
問題解決と自己表現
デザインとアートの違いの問いに対して最も端的な答えは次のようなことになります。
- デザイン:問題解決
- アート:自己表現
与えられた制限や環境/状況の中で、求められる最大の結果を出すためのプロセスや手法となるのがデザインです。反面、極力制限のない環境や状況で最大限の自己表現をすることがアートとなります。
ビジュアル作成
このように「デザイン」と「アート」は対極にあるぐらい異なるものですが、両方とも同じ『ビジュアル作成』という点から、混合することが未だに多くあります。そこで、デザインとアートの違いについて下記の言葉を覚えておくと、何が違うのかを答えられるようになります。
「なぜ?どうして?」の問いに対し 「なぜなら」で説明出来ることがデザインである
デザインはいたってロジカルであり、全てのアウトプットに具体的な意味を持たせることが必須です。アートでは「なんとなく」で表現できることが、デザインは「なぜ」が説明できないと仕事になりません。
それぞれの仕事内容について
デザインとアートに大きな違いがあるように、デザイナーとアーティストの仕事内容も大きく異なります。それぞれの仕事について、それぞれどのような役割を持っているかを例にして解説していきます。
デザインの主な役割
具体的にデザインにどのような役割があるのか、大きく分けると下記の3つが挙げられます。
1. コミュニケーションデザイン
最も重要な役割として『物事を伝える』ということがあります。企業から消費者へのメッセージとしての広告、顧客との約束を可視化したブランドデザイン、最近であれば、スムーズにプロダクトの良さを伝えるUIデザインやUXデザインなど、提供側と受ける側との接点をより効率的に設計するためのデザインです。このコミュニケーションとしての役割は非常に大きいものです。
2. ユーザー(顧客)へのデザイン
ユーザビリティを高め、ユーザーを正しい方向に導き、最適な体験を届ける役割もデザインは持っています。一般的にはUX(ユーザーエクスペリエンスデザイン)や、CX(カスタマーエクスペリエンスデザイン)と言われることですが、これはWebやモバイルなどのデジタルだけではなく、物理的なプロダクト、建物設計や、サイネージ、都市設計に到るまで、人が関わることを目的にデザインを創り出すことも重要な役割の一つです。
3. ビジネスに対してのデザイン
ビジネスの結果を生み出すためのデザインを作ることも大切です。見た目の美しさだけではなく、プロダクトや組織、そして経営戦略に到るまで、ビジネスの全領域に対してデザイン視点からプロセスとアウトプットの導線作りと改善を行う役割も持っています。
そのため、デザイナーとして創り出すデザインは多岐に渡ります。主なものとして下記のようなものが挙げられます。
- 売り上げアップ
- 作業効率化
- コスト削減
- 顧客満足度
- 労働満足度
アートの主な役割
アートの役割は見る人の心を動かし、豊かにすることです。見てくれた人の考えや行動、場合によっては人生に大きな影響を与えることになります。デザインの役割や目的の『問題解決』に対して、アートの役割や目的は、『問題喚起』となります。
ロジックよりも感情/感性に訴えることで、伝えるべき感覚を音楽や絵画などの媒体を通じ、相手に響かせて共感や共鳴を得ます。こそがアートの役割となります。
デザインとアートのクロスオーバー
アートのようにデザインも、相手の心を揺さぶることは可能です。そして、とても重要な役割でもあります。この点において、アートを取り込んだり、アートからの影響を受けたデザイン手法/技法は多くあります。
見た目も機能も、どちらも必要
デザインにはロジックが必要、「なぜ?どうして?」が出来ないとダメだと説明しました。しかし、デザインもアートも先ずは人の目に触れることから始まります。いかにロジックや説明内容が優れていても、最初に目に触れた時の感情や感性に触れることができなければ、その先へは一歩も進むことはできません。
ロジックや機能ばかりに意識を持ってしまうと、見てもらう人(ターゲット層)の感情や感性に響かない、無味無臭的であり面白くも楽しくもないデザインになってしまいます。デザインもアートも『見てもらう人』『見てほしい人』がいるということも忘れずに大切にしましょう。
まとめ
デザインとアート、それぞれ違いは明確になったかと思います。客観的と主観的の違いから、役割や目的など、大きく違います。しかし、どちらも『人』に見てもらう、という点だけは同じです。この部分だけは決して忘れずに、デザインもアートも楽しく創作していきたいですね。当記事が参考になれば嬉しく感じます。
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございます。